不動産売買に関する法律で忘れがちなものに公有地の拡大の推進に関する法律(公拡法)があります。
公拡法は,自治体に優先的に土地の先買いを実施させるための法律で,売買契約を締結する以前に自治体に対する届出義務が課されます。
届出対象となるのは,主に以下の通りです。
① 都市計画道路や都市計画公園などの都市計画施設が計画された土地で200㎡以上のもの
② 文化財保護法に基づいて史跡に指定された土地で200㎡以上のもの
③ 土地区画整理促進区域内の土地区画整理事業で,都道府県知事が指定し,公告したものを施行する土地で200㎡以上のもの
④ 市街化区域内の5,000㎡以上の土地
⑤ 非線引き都市計画区域内の10,000㎡以上の土地
これらの土地を有償で譲渡しようとする場合には,誰に,どこを,いくらで売渡す予定かなどを都道府県(または市町村)に届出たうえ,先買いするかの確認をすることになります。
都道府県(または市町村)から買い取らない旨の回答があるまでは譲渡制限がかかるのですが,回答を得るまでに3週間かかるのが一般的であるため,早めに対応しておかないと予定に間に合わないという事態になりかねません。
なお,届出には都道府県(または市町村)に積極的に買取りを求めるためのものもありますので,都市計画施設等または都市計画区域内の原則200㎡以上の土地をお持ちの場合は,届出制度を活用できないか検討する価値はあるかもしれません。